ライフ・イズ・インタビュー特別編『事件は現場で起きている?日本よ、これが図書館戦争だ』

誰もが一度は行ったことのある図書館で長年働いている浜田さん。
身近な存在ではあるけれど、どんな仕事をしているのかは意外と知られていません。
そんな浜田さんにも悩みがあり、現在休職中だそうです。誰しも休息期間は必要です。
というわけで今回は、オンライン呑み会という形式で私と二人で仕事について語り合ってみました。
ライフ・イズ・インタビュー特別編、一緒にお酒でも飲みながらゆるくお楽しみください。

図書館の仕事ってなにするの?

――はじめまして、って感じじゃないですけど、こうやってお話しするのは初めてですよね。

浜田:そうですね、Twitterでは5年くらいの付き合いですけど。

――(もぐもぐ)あっすいません、おつまみ食べてました。

浜田:僕も吞みながら話してるんで大丈夫ですよ(笑)

――図書館で仕事をされてるってお聞きしてましたけど、具体的にどんな仕事をしているんですか?

浜田:長く働いている職場なので、いま管理職の立場で仕事をしています。どんな本を入荷するかとか運営全般に関わる様々な仕事をしています。

――いつも受付で座ってる人のイメージがありますね。

浜田:そういう仕事もあります。シフトみたいな感じで中と外の仕事で分けられていて、外というのはカウンターで受付みたいな業務をすることですね。中作業は担当している図書館にどんな本を入荷するかとか、図書館で開催するイベントをどうするかなど企画しています。

――アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』の1シーンでヒロインが図書館で子供たちに朗読会していたのが印象に残っているんですけど、イベントってそのイメージであってますか?(笑)

浜田:そうですそうです(笑)他にも子供向けだけじゃなくて、大人向けの例えば映画上映会なんかもやりますよ。関西の方では官能小説の朗読会やってたらしいです。そのあたりは自治体次第なので、自治体から許可が得られればできます。

――なるほど、やはり図書館は公共施設なので自治体からの許可が重要なんですね。

浜田:基本的に僕らは自治体に委託されてる民間会社なので、何をするにしても許可が必要になってきますね。

――さっき図書館に入荷する本を選ぶと言ってましたが、具体的にどうやるんですか?

浜田:民間で一番有名な図書館流通センターという場所があって、そこから本を仕入れます。図書館専門の卸業者といえばわかりやすいですかね。カタログがあって、そこからどの本にするか選定して。

――そんな専門業者が。ということは、仕入れ値は普通に本を買うより安かったりするんですかね?

浜田:実はあんまり値段は変わらないんです。

――えっ、じゃあ普通にそこら辺の本屋さんで自分で勝手に本を買ってきて図書館に並べちゃっても変わらなくないですか?

浜田:そうなんですけど、ここで仕入れるメリットは書籍情報をデータ化してくれることにあると思います。図書館で書籍を検索するときに表示されるような『作者名』とか『ページ数』とか、そういったことをすべてデータにして納品してくれるんです。あとは図書館って色々な人に貸し出すんで耐久性が必要なんですけど、図書館専用のブックカバーも付けてくれます。

――なるほどー!!専門業者を利用するのはそういったメリットがあったんですね。

浜田:そうなんです。いま図書館で人気なジャンルは『レシピ本』とか『医療系』『旅行ガイド』の本ですね。

――なんか図書館とは思えない意外なジャンルが人気ですね。

浜田:その仕入れた本の紹介とかPOPづくりも実は図書館員の仕事なんですよ。

――まるで本屋さんみたいですね。でも、紹介するために仕入れた本を全部読むの辛くないですか?好きなジャンルならいいですけど。

浜田:意外とそこまで苦じゃないですね。本を読むのは嫌いじゃないです。

――すごいなあ。そりゃ言われてみれば図書館で働いているくらいですから本を読むのが好きな人ばかりですよね。

浜田:それが、そうでもないです。仕事自体はやろうと思えば誰だってできますし、図書館司書の資格も大学に通いながら取れたりしますし。ただ、給料がどうしても低い仕事なので、食べていくことを考えたときに辛いものがありますね……。

――たまに図書館司書の薄給で辛いみたいなニュースとかツイート流れてきますもんね。

浜田:そうですね。やはり給与面での壁が高いですね。それに加えて仕事量が増えちゃいまして。いまは管理職なので現場の指揮をとる訳ですけど、上と下の板挟みになって身動きが取れず、適応障害になっていまは休職しています。

――Twitterでしか関わったことないですけど、浜田さんが超真面目なことも優秀なことも知ってますし、なんでそんな浜田さんが休職にまで追い込まれたのか不思議で今日はお話ししてるんですけど、いったい何があったんですか?

浜田:すでに現場がギリギリの仕事量だったんですけど、その上でさらに仕事が増えちゃいまして……。これ以上増えたらヤバいよねとはお話してたんですけど止められなくて。女性が多い職場で人間関係とかも複雑で、管理するのもすごく大変で……。

――なるほど、抱えきれない業務量がきっかけと。

浜田:自分で言うのもなんですけど、あまり仕事ができるタイプじゃないんですよ。ですから終わらない分は本当は残業してやりたいんですけど、公共の施設なのでそこらへん厳しくて。ですから基本的に残業は無いんですけど、その代わりどんどん仕事が溜まっていってしまう。そんな状況に耐えられなくて、上と下に挟まれてストレスで休職することになりました。

――職場に女性が多いって時点で地獄ですよね、感情論で動くから。

浜田:そうなんですよ。そのあたりも我慢してきたんですけど……。

――中間管理職の辛いところですよね。でも、いま聞いた限りでは残業も無いし悪い職場ではない気がします。少なくとも、普通に休職という制度が利用できる会社なんて僕の知る限りあんまりないですし。そのあたりまともな会社なんだなあという印象です。

浜田:言われてみればそうですね。私はこの会社でしか働いたことがないので、あまり他のこと知らないんですけど。そういうところもスキル面で将来的に不安で、他の部署とか現場でも働いてみたいと上司に相談してました。でも、それなら現場の仕事量をどうにかしてほしいなあ。

――上の立場になると現場がどうなってるかなんてわからないんで、気づかせるためには現場を一回ぶっ壊すしかないんですよね。そこまでいって初めてヤバいなって組織改善が始まるんで。始まらない場合もありますけど。

浜田:あっ、そういうのはあるかもしれないですね。

――だから今回のように浜田さんが休職したことは、会社にとって現場改善の大きなきっかけになったような気がします。そういった意味で、客観的にいま転職するのはちょっともったいないような気がします。喧嘩別れという訳でもないし、復職できるのであれば一回してみて、それでも無理だなと思ったら会社なんて腐るほどあるから辞めちゃえばいいですし。

浜田:そうなんですよね。ただ、うちの会社は給料がすごく低くて。だからいま何社か面接してるんですけど、あまりいい結果がでなくて……。

――面接が上手くいかなくて落ち込んでましたよね。でもトークも上手ですし、話し方も俺なんかと違って丁寧ですし、浜田さんが面接で落ち度があったとはどう考えても思えないんですよ。

浜田:そうですかね。自分ではあまりわからないですけど。

――そもそも零細企業と違って、大企業の面接官とかって自分よりもちょっと馬鹿な人を採用したがるんですよ。なぜかと言うと、自分よりも頭が良い人間って理解できないから気持ち悪いんですよ。ですから自分が理解できる人間、例えば面接官が100点だとするなら80点くらいの応募者を採用したがるんです。150点の人間は何するか想像できないから怖くて落とすんですよ。上司に怒られるかもしれないから、普通の人間ばかり採用するんです。

浜田:なるほどー、確かに!それは面白いですね。

――これ俺の経験談で、昔は馬鹿正直だったから普通に「ベンチャー企業でアルバイトから副社長まで半年で出世しました」とか言ってたんだけど、そんなの誰も信じてくれないのよ。別に自慢してるわけでもないのに勝手に変な奴認定されて。だから馬鹿なふりして「役者目指してて30歳までフリーターだったんですー」とかそれっぽいこと言った方が理解される。そもそも過去の経歴なんて新しい職場じゃまったく意味無いし。経歴を盛るのは経歴詐称だけど、下方修正する分には問題ないからね。

浜田:話には聞いてましたけど凄い経験してますね。

――ベンチャーにいた頃は会社で一人で毎日寝泊まりしてて、朝8時から深夜3時まで仕事してた。都庁前だったんだけど、あそこって日本で一番会社の多い場所でビルがいっぱいあって。そんで仕事が終わると電気消すから夜になると徐々にビルの明かりが消えていくのよ。でも俺、他の会社の人間に絶対に負けたくなくって。だから他の会社の明かりが全部消えるまで仕事しようと思って、窓から外を見て他の会社が全部消灯したことを確認してから優越感に浸って最後に部屋の電気消して寝るのが唯一の楽しみだった時期……。

浜田:ええー!!そんなことしてたんですか。

――いま考えるとすごく馬鹿なことしてるよね。でもまあ、人生一回きりだし後悔はしてないかなあ。得られたこともあったし自分の限界も見えたし、何度も失敗したし。あの経験のおかげで丸くなったというか。俺もまた1から頑張らないとなあ……。

浜田:そういう経験があるからこそ、これから色々なことにも活かせますよね。それだけ器が大きいというか、優しいのは辛い経験をしてるからであって。

――いやいや!そういった意味では浜田さんの方がすごい大人ですし器も大きいと思いますよ!!俺と喋っててわかると思うんですけど、かなりタメ口に近いテンションというか、この話し方してると好き嫌いがすごく分かれて俺なんか嫌われやすいんですよ。

浜田:ええーそうなんですか!というかタメ口でいいですよ(笑)

――いやこれ法則があって、いままで色々な人と話す機会があったけど、社長とか経営者の人にはわりと好かれる喋り方なんですよ。というのも社長とかっていつも会社でへこへこ頭下げられるのに慣れてるわけですよ。そこで俺みたいなちょっと生意気な奴がいると「なんだこいつ面白いな」って印象に残って可愛がられたりする。これを釣りバカ日誌の浜ちゃん理論って呼んでるんだけど。

浜田:すごくわかりやすい!!(笑)

――逆に課長以下の人は俺の喋り方嫌いなのよ。なぜかって偉そうにしたいから。承認欲求を満たしたいから、俺みたいな生意気な奴は大嫌いな訳ですよ。そこで器が小さいのがバレて小物臭がする。だから理論的には俺の話し方を許容してる時点で浜田さんは経営者並みに器が大きいってことですよ。

浜田:なるほどー(笑)

――話を戻しますけど、浜田さんのことは僕からするとすごく羨ましいんですよね。同じところでずーっと頑張れるって。それって間違いなく才能なんで大事にした方が良いと思います。

浜田:そうなんですけど、それはそれでスキル的にも不安で。実は1社すでに内定をもらっているのですが、そこに行こうか悩んでまして。給料もいまより上がりますし、悪くなさそうなんで。

――難しいところですよね。転職したことないから、今の会社と比較できない。

浜田:それなんですよね、だから転職するの怖いところがあって……。

――僕の経験上、転職は無理にしないほうがいいかなーと思います。というのも、浜田さんあんまりお金に興味ないでしょ?

浜田:いやまあ、投資とか将来自分が食っていくためのお金とかは興味ありますけど。

――やっぱり。例えば他の人みたいにブランド物の時計が欲しいとか、高級車を乗り回したいとかそういう金銭的な欲求が無いでしょ。

浜田:無いですね。

――Twitterで絡んでて、そのあたりすごい俺と似てるなーって勝手にシンパシーを感じてたわけですよ。んで、そういうタイプの人間って楽しいこと優先だから金のために我慢ができないのよ。逆に承認欲求が強い人とかって金のためなら犯罪でもなんでもするみたいな。そういった欲求が僕らにはないから、いままで図書館という自分の好きなジャンルで働いてきたのに他のところに行ったら「思ってたのと違う」って辞めたくなる可能性が高いかもなあと。

浜田:なるほどなあ。

――でも、それは俺の価値観なので、結局選択するのは浜田さんですし偉そうなことは言えないんですけど、個人的には転職するリスクとしないリスクを考えたほうがいいかなと思います。投資家的思考で損をしたくないという感情は『プロスペクト理論』で説明できますし、リスクを取らないリスクは『モンティホール問題』がわかりやすいです。

浜田:確かに、自分も今の状態だと損失の方ばかり意識してしまって、元に戻る方法を考えていたように思います。でも、そこで辛い思いをしてるから休職してるんですよね……。

――そういえばキャリアコンサルタントの資格に受かったんですよね、おめでとうございます。あれ難しいらしいじゃないですか、実技とかもありますしスゴイですよね。

浜田:ありがとうございます。実技試験は面接みたいなことをやったんですよ。

――なるほどー、だからトークが上手いんですね。面接で失敗したって落ち込んでたとき、そんなわけないだろと思いましたけど合点がいきました。ってことは、やっぱり浜田さんを担当した面接官がろくでもない奴だっただけですよ!!落ち込む必要まったくない!!浜田さん悪くない!

浜田:あはは(笑)

――実際、俺なんかは何度も転職した経験があるのでわかるんですけど、職場によって必要とされるかされないかって雲泥の差なんですよ。前の職場ではゴミクズみたいな扱いを受けていたのに、次の職場に行ったら「お前みたいな優秀な部下はじめてだよ!」って大絶賛されたこともありますし。それが僕の場合は営業マンだった訳ですけど。つまり、適材適所で落ち込む必要はないです。

浜田:カウンセラーにも「君は自分に自信がないみたいだけど、そんなことない。他のところに行ったら気付けるかもしれない」みたいなこと言われてたので、すごい説得力ありますね。ありがとうございます。

――いやいや、恥ずかしながら俺なんかが偉そうなこと言えないんですけどね……。これからどんなことがやりたいとかあるんですか?

浜田:特に若者支援に興味があって、そういった仕事がしたいなと思いまして。いまの職場だと副業禁止なので。

――浜田さんトークも上手いし優しいからそういう仕事向いてると思います。

浜田:ありがとうございます。休職しながら良い仕事ないか探してます。

――そういえばさっき投資の話になりましたけど、いまなにやってるんですか?

浜田:いま投資信託やってます。NISAでオルカンとかS&P500とか。

――めちゃくちゃ賢い選択ですね!!現時点で最適解すぎる!どこで覚えたんですか?

浜田:いや、色々と有名な人とか調べたんですけど、本木さんから教わったのにもかなり影響受けてますよ?

――えっ、俺の作ったサイト見てくれたんですか!まさかそんな真面目な人がいてくれたとは……ありがとうございます。

浜田:いえいえ(笑)

――投資の良いところって資産運用よりも、投資の知識があれば人脈が増えることだと思うんですよね。人脈って言い方嫌いなんですけど、友達が増える、みたいな?

浜田:あー、話のネタになると。

――というよりは、自分よりも頭の良い人と仲良くなれるって感じですかね。僕なんか投資業界にいたんでわかるんですけど、結局のところ投資なんてやってる人って8割以上が経営者かフリーランスだったりするんですよ。普通の会社員で投資やってる奴なんてほとんどいない。だから投資の知識があるだけで、必然と面白い人に出会える確率が大幅にアップするんですよ。

浜田:投資の知識があるとそんな考え方もできるんですね。

――例えば、俺が投資サークルで知り合ったのが週刊少年ジャンプで編集やってる人で。しかもその人、テレビアニメのプロデューサーもやってたのよ。もちろん俺はアニメオタクだからその作品のファンだったし、そんな雲の上の存在と仲良くなれる機会なんて投資という共通の話題がなかったらありえなかったわけですよ。そのあと仲良くなって一緒にビジネスの企画作ったりしてもらったし。投資の知識って自分よりも頭の良い人と対等に会話するキッカケが作れるツールだとこの歳になって思うことが多いかも。

浜田:えー!そんなスゴイ人と出会ったりするんですね!!

――そういえば図書館って接客業みたいな仕事にもなりますけど、クレーマーとか変なお客さんとか来るんですか?

浜田:そうですね、公共の施設なんで老若男女問わず誰でも来ます。例えばホームレスとかも来ます。でも、もちろん追い出すようなことはしません。あまりにも臭いとかですとさすがに対応せざるを得ないですけど。

――ホームレスの人も来るんですか。なんでだろう、寒いときとか?

浜田:そうですね、あとは女性の職員が多いんですけど、男性に付きまとわれて裁判沙汰になったこととかもありますね。

――えええ!!それ普通に犯罪じゃないですか。

浜田:女性が多いから男性が上からものを言ってくることが多いらしくて、そんなときに男の僕が後ろから「どうしたんですか?」って声をかけると男がいたことにびっくりして急におとなしくなることもあります(笑)

――なんて頼もしい(笑)いまさらですけど図書館ってどれくらいの数があるんだろう。

浜田:どうだろう、調べてみますか

――調べたら3000カ所くらいあるみたいですね。

浜田:そうですね、大きいところと小さいところがあって、中央図書館と地域の図書館で基本的に分かれてる感じですね。中央図書館だと自治体が自分たちで運営してることもあるんですけど、地域の図書館は私たちみたいな民間業者に委託してる感じですね。国立国会図書館というすべての本を集めている大きな図書館もあるんですよ。

――えっそんな場所があるんですか、ハリーポッターに出てきそう。高さ30メートルくらいあってダンブルドアが住んでそうなイメージ。

浜田:さすがにそれとは違うかな(笑)

――おっと、かれこれ3時間くらい話しているので、そろそろお開きにしましょうか。

浜田:そうですね、また近いうちに吞みましょう(笑)

――どうせなら次は実際に会って吞みたいですね。基本的に人生一回なのでやったことない経験したいじゃないですか。今度会ったときは昼間にお互いやったことのない遊びとかして、夜は呑みましょ。

浜田:そういうのいいですね(笑)

――今日はありがとうございました!!

取材・文/film quartz