ライフ・イズ・インタビュー『時代の変革と共にビジネスも進化した。長く続く不景気の中で、生き残るために目指すべきスタイルとは』

昔の日本は裕福で金がばらまかれていた。
面接なんかしなくても大企業に就職できた時代だ。
今は想像できないだろうが、あの有名企業の東芝ですら「馬鹿でも入れる」と言われていた時代だ。
しかし、今は不景気が続き、ホワイト企業などほとんど存在せず、安い給料で長時間労働を強いられている。そんな時代で我々が生き残るためにはどうすれば良いか?
就職氷河期と呼ばれる時代に生まれ、水商売から成り上がった専務の生き様に迫っていく。

就職氷河期からどのようにして成り上がったのか

――というわけで、堅苦しい感じに始まりましたが、今回はFX(外国為替証拠金取引)で知り合った呑み仲間の専務(ニックネーム)にお越し頂きました。今日は映画『天気の子』の舞台にもなった新宿で呑みながらのインタビューです。
しかも専務の奢りだよ、わーい!!

専務:エイヒレ美味いんだが(もぐもぐ)

――さっそくですが、まずは簡単な自己紹介をお願いします。

専務:友人の会社で専務として在籍している一方で、自営業で自動車関係の会社の経営と、主に夜の飲食店の経営コンサルタントをやってます。コンサルの方は忙しいので、今は友人に任せてますね。

――今まで色々な会社を見てきたと思うのですが、求職者が良い会社と悪い会社を見極めるポイントは何かありますか?

専務:まずは、この良い会社悪い会社というのは、電話の応対で気づけるというものがあります。まず電話をして求人を見ました。その時点で見極めるのは難しいかもしれませんが、次のステップとして面接で面接官がよくわからない質問をしてくることも、世の中には多く存在しています。
自分の言っていることに対して、揚げ足を取ろうとしてくる会社というのは、たぶん就職しても悪い会社として、何かがある度に揚げ足を取って「あーでもないこーでもない」と言ってくるのではないかと正直なところ思います。

――なるほど。

専務:逆に良い会社はその人を伸ばそうというところで質問をしてくるので、良い会社というのは「この人が会社に入ってくれたらどれだけ伸びてくれるだろう、どれだけ伸ばせるだろう」という考え方をします。悪い会社は「こいつは使えない、長く使えないんじゃないか」といった質問を平気でしてきます。
というところで、悪い会社でそういう質問をされたときはお宅の会社では就職できませんとキッパリ断る勇気も必要だと思います。

――面接をした際、どのような方を採用したいと思いますか?

専務:まずは会社に入ってからのやる気、そこから自分はこういうことをやっていきたい、将来どういうポジションにつきたいといった『将来の目標が明確にある』ことが一番のポイントだと思っています。
そして、やはり一番重要なのが『面接の時に目を見て話すことができる』か。
本当のことを言っているのか注目します。目が泳いでいる方は、正直なところ採用しにくいというのが面接する側の本音です。
緊張するのは仕方のないことなのですが、この人は精神的に強い方か、弱い方かを見極めるときに、緊張の仕方、目の動き、仕草ひとつで評価が変わってきてしまいます。
リラックスするのはなかなか難しいと思いますので、その人が本音で話しているか確認するために、やはり可能な限り目と目のアイコンタクトを重要視しています。

――思ってたよりも凄い良い回答が来て楽しいんですけど。

専務:俺そんなに下に見られてたの!?

――いや違うんですよ、もっと気を抜いてくるだろうなと思ってたんですよ。

専務:これでも相当抜いてるよ(笑)

――話しは戻りますが、逆に言えば目の動きとかコントロールすれば採用されやすい?

専務:そうですねー。やはり落ち着いていれば紳士に受け答えも出来るし、ただ緊張するなっていうのは無理な話。場数をこなして、自分の良いところを伝えることが上手くなればそれだけ魅力的に見えると思いますね。

――先ほど『やる気がある方』という話しがありましたけど、たまに面接していると(※過去に採用面接を担当していました)「えっと僕、起業したいんですけど」って感じで来られる方いるじゃないですか。

専務:あーいるねー

――僕なんかはやる気があって良いじゃないかと思っちゃうんですけど、採用面接する側としては基本的に会社に長くいてもらいたい訳で、独立願望がある人は5年くらいで辞めちゃうだろうなーと敬遠されがちですけど、そのあたりどう思いますか?

専務:これは職種によると思います。例えば建築関係の大工とか一人親方になるまですごく長い時間がかかりますし、他の職種なら3年くらいで独立できちゃったりするし。こればかりは一概には言えません。ただし、夢を持っていることは非常に重要。別の業種で自分の店を持ちたいとか、明確な目標があるかたというのは、やはりプラスの評価をしていきたい。

――つまり、プラスに考えてくれる会社は良い会社という見方で良いのでしょうか。

専務:そう思いますね。それこそ平成から令和に変わって、昭和のやり方なんて古くなっています。(ここで飲み屋の店員さんがやって来る)あっ、支払先にして良い?

――ちょっ、それ写真とって良いですか? そんなの使ってるの専務しか見たこと無いんですけど!!

専務:えっいいけど、ただのマネークリップじゃん(笑)

――いや、普通の人は一万円札をクリップで挟んでタバコみたいにテーブルに投げないんですよ。ハリウッド映画でしか見たこと無いですよ。

――新卒採用をする際に注目している点はありますか?

専務:新卒に思うことは『本当にうちの会社でやっていけるか』ですね。プロ意識を持って、遅刻や早退などもちろんせず、基本的なことがしっかりできる人なのかと。
とにかく会社に貢献したいという気持ちを感じられるかどうか。もちろん、貢献してはいけない駄目な会社も数多くありますので、そこは面接で見極めて頂きたいと思います。

――中途採用において企業は即戦力を欲しがりますが、今の時代、一から育てるといった余裕が無くなっているように思います。そういった意味で、転職者が未経験の業種に飛び込むといった場合、どのようなところに注意すべきでしょうか?
また未経験での転職の場合、年齢ではいくつくらいが限界だと思いますか?

専務:そうですね、会社にもよると思いますが、即戦力を欲しがるにしても、即戦力にならなくても真面目であって間違い無く伸びてもらえるような方であれば、それはそれで採用したいと思います。やはり面接でどれだけ腹を割って話せるかというのが重要だと思いますね。
また、職種によって一から育てないといけない企業もあります。例えば、昼の仕事であれば営業スキルがあれば転職もしやすかったりしますが、儲けたいから夜の仕事、水商売に飛び込んでこられる方もいらっしゃいますよね。そうなると、OL時代のトークスキルじゃ足りないんですよ。ですから、とりあえず採用してみて挫折せずに続けられるか試すってこともありますね。
私個人としましては、年齢による限界はないと思っています。もちろん、年齢制限がある職業では無理ですが、年齢制限のない仕事であれば、学歴が無くても年齢が高くても、やれないことはないと思っています。
ですから、どんな仕事であれ、自分の中で限界だと思ったときが本当の限界なんだと思います。

――転職活動においてどのようなところに注意すべきだと思いますか。また、コツなどがありましたら教えてください。

専務:うーん、注意するべきところではないんですが、結局、自分が長続きしないところに転職するべきではないですね。昔からこれがやりたかったとか、興味があるとか、そういう仕事の方が良いと思います。
人生経験を積んだ方と積んでない方で考え方が変わると思いますが、自分の好きなことは一生変わらない訳ですから、そういった仕事に就けるのが一番良いと思います。
だからコツっていうよりかは、自分が昔から良いなと思っていることが何なのかわかった上で、転職活動をすることが重要なのではないでしょうか。

――これからの時代、どのような人が生き残れると思いますか?

専務:まあ、世の中非常に不景気が続いていて、生き残れるのか、無理やり飼い殺されているのかの二択になると思います。自分に見合った給料を貰っていると思うのであれば生き残れていますし、転職ができないから今の会社にしがみついているのであれば、それは飼い殺されている訳で。
まだ俺はこの会社で上を目指せるというなら思えるなら良いのですが、問題なのは『これ以上の上が無くなったとき』で、もう一番上まで来てしまったとき自分が何をしたいのか明確にないと、そこで立ち止まるしかなくなってしまうのではないでしょうか。

――独立、起業したいと考えている方も多いですが、どのような方が成功できると思いますか?

専務:独創的な発想が出来る人だと思います。例えば、いま楽天ペイとか色々とありますけど、一番最初に手を付けたのは中小企業がほとんど先で、それを大手がマネして資金力で優位に立つというのが一般的な流れです。ですから、大手の先を行くには何か考案できる能力が必要だと思います。
また、成功できるかに関してですが、正直なところわかりません。
例えば僕は車屋が本業ですけど、車屋とは別の他の事業の方が成功することもありますし、時代の流れもあります。独立、起業というのは、一個の仕事を100%の力でやるのではなくて、5個の仕事を20%ずつやった方が良い。一個潰れても他の収入があるくらいがいい。
リスクを分散して考えていける人、そう言う人が成功できるのではないかと思います。

――専務が起業したきっかけ、また起業するに至った経緯を教えて下さい。

専務:きっかけは、基本的に人に雇われることが嫌いなんだなと意識したことが、事の発端であるという風に思います。

――専務らしいですね

専務:うん。自分の考えを社長にぶつけても「若い奴がなに言ってるんだ」とか言われて。でも、自分が言ったことを実際にやってみたら成功したわけで、収入も上がったし起業したのは間違ってなかったのかなと。
自分の会社の社長が馬鹿なこと言ってるなと感じたあと、自分の発想でやり抜けるかどうかが大事なんじゃないですかね。
私は時代にあったやり方に沿ってきましたので、交友関係も広いですし、色々と助けて貰えたので起業するに至ったと感じています。

――ご自身の経験から起業をする上で注意すべき点があれば教えて下さい。

専務:業種によって変わってくると思いますけど、場合によってはお金を借りないといけないときがあると思います。まずは可能な限り、自分が思ってる1.5倍以上の資本金を。例えば100万でいけると思ったなら、150万は用意しておくべきだと思います。
あとは騙されないこと。
個人でやっていると色々な悪い人からあーだこーだ言われて惑わされてしまうことがあると思うのですが、自分の本心を貫いてやることが重要だと思います。

――最後に転職を考えている方に、何かアドバイスをお願いします。

専務:とにかく長続きする仕事を探すことだと思います。趣味を仕事にしてはいけないと言いますけど、趣味を仕事にするのもひとつだと思います。
転職をするっていうのは、これからの人生の中で大きな転機になってくると思いますので、アドバイスをするなら、自分がこれだけは譲れないといったものを大切にしていった方がいいかと思います。
ちなみに、私は子供の頃から車が大好きでした。ミニカーとかめちゃくちゃ持ってました。幼稚園の頃から車屋になるのが夢でした。で、実際なりました。
自分が幼少期から好きなことはなかなか変わらないと思います。そういう仕事に就けるのが一番良い。
宇宙飛行士にはなれないかもしれないけど、宇宙に携わる仕事ならできるかもしれません。
自分が好きだったことを面接でアピールすれば、それが採用にも繋がっていくと思います。
皆さん頑張っていきましょう。

――今日はありがとうございました!!

取材・文/本木健真
撮影/Film Quartz