ライフ・イズ・インタビュー『ツイッターでバズったのは名前がきっかけ?NEET株式会社の取締役として自由気ままなシェアハウスを営む理由とは』

ニートとは「Not in Education, Employment or Training」の略であり、就学・就労・職業訓練のいずれも行っていないことを意味する用語である。
社会的には人間のクズの称号でもあるが、いまの日本において最も自由なのは間違い無く彼らであり、クズという称号は、社畜として消費する社会人の憧れからくる興味の裏返しなのかもしれない。
今回は、そんな彼らを代表するNEET株式会社取締役の一人、クソニート牧場さんに密着する。

クソニート牧場という名前に隠された思惑とは

――本日は新宿の焼肉屋でインタビューです!!

牧場:人生で食った中で一番おいしい肉があって、あまりにも美味しいから店員さんに部位を聞いたんだけど、そしたら「それはラードです……」って答えられた。

――そんなことある!?(笑)

――クソニート牧場さんってなかなかエッジの効いた名前ですけど、何がきっかけでその名前にしたんですか?

牧場:ツイッターのアカウント名なんですけど、元々このアカウントは友達が作ってくれたものなんです。俺が正社員で10年続けた仕事を辞めたときに、次に何かをやりたいってビジョンが特に無かったんですね。
それを友達が心配してくれて、何かやった方がいいと声をかけてくれたんですけど、僕が凄い面倒くさがりなんでツイッターのアカウントとか絶対に作らないから、友人が代わりにアカウントを作ってくれて、最初はその人と僕の共有アカウントだったんです。
でも二人でやってると、そのうち思想とか考え方とかが違うので矛盾とかが出てくるじゃないですか。

――複数で運営するなんて企業アカウントでしか聞いたこと無いですよ。

牧場:で、途中からもう俺ひとりでやるわってことになって。そこで名前を決めることになったんですけど、最初に決めた名前がインパクトが無いって言われて。
そこで、噂に聞いていた『山奥ニート』って言葉を思い出して。その流れで「俺もニート集めたいなー」って思いまして。

――ふむふむ

牧場:一時期、俺も引きこもりの時期があったんですけど、ああいうのってちゃんとしたNPO法人とかが支援してるじゃないですか。なんか、ああいうの嫌いで。

――あーなんか言いたいことわかる(笑)

牧場:俺がやるなら『正しい位置からすくい上げるんじゃなくて、同じ目線で考えたい』と思って。そういうのが色々とあって、友達に「クソニート集めて農業みたいなのやりたいよな」って言ったことがきっかけで、ツイッターのアカウント名がクソニート牧場になりました(笑)

――そんな深い意味があったとは。確かに、ニート牧場よりもクソニート牧場の方がインパクト強いですもんね。

牧場:そうですね。結局、ニートって働くのが嫌な訳じゃないですか。それなのにニートを教育して社会に戻すみたいな活動って違うと思うんですよ。まずは自分たちが生きていくための最低限の野菜とかを自分のために育てることから始めるくらいでいいと思うんですよ。ニートがそこら辺の草食ってるイメージで。

――そういう型にはまらないゆるい感じがニートっぽいですね。

牧場:それでいま36歳なんですけど、会社を退職したときに2000万くらい貯金があったんですね。あまり娯楽とかにもお金を使わないんで貯まってて。どうしようかな、と。

――時代的な背景もあると思うんですけど、それこそ昔は生涯雇用で定年まで働いて結婚するのがステータスで、娯楽と言えば車とかテンプレみたいな時代だったじゃないですか。
牧場さんも36歳でわりと世代的には近いと思うんですけど、昔に比べて新しい幸せを模索する時代になったのかなーという印象があります。

牧場:それは誰もができることだとは思わないです。そっちの方が結局リスクも高いし面倒臭いし。俺も奥さんとか子供がいたら会社を辞めたりできなかったですけど結婚もしてないですし、俺の場合はこのまま会社に勤め続けていても「つまらないな」と感じていたので、それだったら面白い方向に少しでも進みたいと思って。それが退職したきっかけですね。

――なるほどー、その流れでシェアハウスを始めたんですね。

牧場:そうですね。ニートを集めたいというのと、ニートに部屋を貸すことで少ないですが収入が入るので自分の生活コストも下げられる。その二点が合わさって、シェアハウスという結論に至りました。それと海外ドラマのフルハウスを観て大勢で住むのに憧れてたのもあります。
まあ、俺がやったらニートと引きこもりと精神疾患が住む『汚いフルハウス』になっちゃうんですけど。

――それ、ポーカーだったら絶対に勝てないフルハウスじゃないですか(笑)

牧場:いかにブラフで勝つかって感じですね(笑)

――でも、カイジのEカードみたいに『奴隷は皇帝に勝つ』みたいな感じで、ニートが集まって何か世間に一矢報いることができたら面白いですよね。

牧場:まあ、実際そんな和気藹々な感じで上手くいくとは思いませんけど……。

すごく和気藹々としているシェアハウスの方々

――僕からするとルームシェアは不動産投資にあたる訳ですけど、このルームシェアの金額がすごく低く設定されてるじゃないですか(神奈川の物件、水道光熱費込みで32000円)もう少し高くしても良いと思いますけど……。

牧場:相場が安いっていうのもあるんですけど、ニートなので安く住まわせてあげたいというのがありまして。俺も含めてみんなで頑張っていこうぜと。金儲けはあまり考えてないですね。

――僕だったら2000万円もあったら事業か外国為替に投資しますけど、考えたこと無かったんですか?

牧場:ボードゲームカフェとかボルタリング、サバゲーなんかもいいなーと思ったことはありましたが、やるまでには至りませんでしたね。

――なるほど、その結果がシェアハウスだったんですね。
話は変わりますが、牧場さんってツイッターでちょこちょこバズるじゃないですか。それって才能だと思うんですよね。僕なんかが「これ面白いだろー」と思って呟いてもまったくバズらないわけで、センスが必要だと思うんですよ。

牧場:バズりのセンスは俺が一番わからないですね(笑)
面白いと思ったツイートがウケなくて、よくわからないツイートが伸びたり。だから最近は数打ちゃ当たるで数を出してますね。

――じゃあ自分で一番面白いと思ってたツイートって何ですか?

牧場:いま固定ツイートにしてる奴ですね。

――あっはっは!なんでこれ固定ツイートにしてるのか不思議だったんですよ!一番つまらないツイートじゃないですか!(笑)

牧場:えーウソ!この子は出来る子だと、いつか絶対にバズると思って信じてたのに!(笑)
まあだから自分でも何がバズるかってよくわからないよね。

――確かに粗が多いというか、完璧なツイートよりもツッコミどころ満載なツイートの方がバズりやすかったりしますよね。運もありますしフォロワーの性質とかにもよると思います。あと『自分に都合の良いツイート』って伸びやすいですよね。

牧場:あー、俺も無職系のツイートはみんな優しかったりしますね。

――ツイッターって簡単に拡散されるからこそ似たもの同士が集まりやすいっていう性質があるのかもしれませんね。何かその拡散力をビジネスに繋げようとは考えていないんですか?

牧場:副業的なことは考えてるんですけど、わかりやすいところだとユーチューバーとか。

――良いですねー!! あっでも、そういえばこないだ漫画家のヒロユキ先生(代表作『アホガール』など)って人がユーチューバー始めたんですけど、ツイッターのフォロワーが10万人いるんで人気出るのかなあと思ったら300再生くらいだったんですよ。そのとき、思っていたよりもツイッターとyoutubeって親和性がないのかなって気がしましたね。

牧場:メディアの性質がまったく違くて、ツイッターってパパッと流し見できるじゃないですか。でもyoutubeって短い動画でも集中して見なきゃいけないじゃないですか。

――確かにyoutubeで30秒の動画ってすごく短いですけど、ツイッターで30秒の動画が貼ってあったら「長いな……」って思っちゃいますわ。

牧場:そこでイラッとしちゃうんですよね。だからyoutubeとあまり繋がらないんだと思います。

――最後になりますが、一応これ転職情報サイトなんでこれから転職を考えている方にメッセージをお願いします。

牧場:うーん、そうだなあ。昔話で正直爺さんが最後に報われるハッピーエンドって話しがありますけど、それって今までイジワル爺さんがずーっと好き放題やってきた訳じゃないですか。
それが最後に罰を受けて死んだわけですけど、俺はそのハッピーエンドに納得できなくて。
どうせ人間なんて死ぬんだから、イジワル爺さんのほうがよっぽど人生を満喫してるんですよ。別に悪いことしろって意味じゃないんですけど、我慢して最後の最後で報われる人生よりも『今この瞬間が楽しい人生』を目指した方がいいんじゃないかなという風に俺は思います。


NEET株式会社では自由な活動をモットーに、ひとりひとりがビジネスを考え実行している。
会社の枠組みに囚われず好きなことを好きなだけ、ニートらしく自由に活動できる場である。
それは同時に、すべて自己責任であるということだ。今後の展開に期待したい。

  • クソニート牧場
  • ツイッター:https://twitter.com/kusoneetbokujyo
  • サイト:https://neet.co.jp/

取材・文/本木健真
撮影/Film Quartz